Yoga Salon Naz

宮城県名取・岩沼の小さなヨガ教室〜自分を大切にし、よりすこやかに、かろやかに歩む心身をととのえる*30代からの季節に合わせたやさしいヨガ*大人向けリラックス、ベビーマッサージ&ママヨガ*ヨガ初めての方も大歓迎〜

ライオンのおやつ

ライオンのおやつ/小川糸

 

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*あらすじ

33歳の主人公、雫。末期ガンで余命を告げられて、瀬戸内の島にあるホスピスライオンの家で最期の時を過ごすことにした。

そこでは、毎週日曜日に入居者がもう一度食べたい思い出のおやつをリクエストできるおやつの時間があった…

 

 

とにかくたくさん泣きました。ぐっと引き込まれてあっという間に読んでしまいました。雫の身体の変化と、心の葛藤や変化にきゅーっと胸を締め付けられます。主人公と、自分の年齢も近いのでもし自分だったら…と時々考えを巡らせてしまいました。

 

可愛らしいタイトルですが、生きること、死ぬことという中々重いテーマ。だけど、出てくるキャラクターがみんな味があって魅力的で、爽やかな瀬戸内の気候や風景を感じられる表現があり、ずーんと重い気持ちにはならず、温かい気持ちで読み進めることができました。ライオンの家のマドンナさんの言葉も、すごく優しくて思いやりに満ちていて安らかな気持ちになります。

出てくるご飯、おやつもどれもとても美味しそうです。

 

 

 

印象的だったフレーズ。

 

★生活の質のことをQOLと呼び、同じようにQODという言葉もあって、こっちは死に方の質を意味している。QOLもQODも、私にとってはそれが残りの人生のすべてであり、いかに生きるかは、いかに死ぬかそのものだった。

 

★1日1日を、ちゃんと生き切ること、どうせもう人生は終わるのだからと投げやりになるのではなく、最後まで人生を味わい尽くすこと、イメージしたのは、昔、父と住んでいた町の商店街にあったパン屋さんのチョココロネだ。端から端までクリームがぎっしり詰まったあのチョココロネみたいに、ちゃんと最後まで生きることが、今の私の目標だった。

 

★今というこの瞬間に集中していれば、過去のことでくよくよ悩むことも、未来のことに心配を巡らせることもなくなる。私の人生には今しか存在しなくなる。そんな簡単なのとにも、ここまで来てようやく気づいた。だから、今が幸せなら、それでいい。

 

 

遠くにあることだと思っていて普段は意識しないけれど、みんな生まれた時から、死に向かって歩いている。それが早いか、遅いか。それは、自分では予想していなかった時に突然やってくるかも知れない。毎日毎日を、しっかり生きなければいけないなぁと思いました。と言っても、なにかたいそれたことをしなければいけないとかそういうことではなく、感謝の気持ちを忘れず、丁寧に時を過ごしたいと感じました。

 

本の帯に、「毎日をもっと大切にしたくなる物語」と書いてあって、とてもぴったりな言葉だと思いました。