HELPING CHILDREN SUCCEED 私たちは子どもに何ができるのか/ポール・タフ
子どもとしっかり向き合う重要性が、研究結果から詳しく書いてあって、まぁそうだろうなということを主張しているのだけど、説得力があります。後半は教育関係者にぜひ読んでもらいたい内容です。
ここで、キーワードになっている非認知能力とは、ひとつのことに粘り強く取り組む力や、内発的に物事に取り組もうとする意欲などのことで、勉強でもスポーツでも人との関わりでもすべてにおいて基盤になってくるもの。
6歳未満の幼い時期、特に3歳未満の時期が、子どもの脳は最も柔らかく発達を促す期間であり、親や周囲の人とのあたたかい、正面から向き合ったやりとりが大事とのこと。
1番大変な時期だけれど、できることをして、子どもにたくさん愛情を注いでいきたいなと思います。
印象的なフレーズ
★子どもが動揺しているときに、親が厳しい反応を示したり、予測のつかない行動を取ったりすると、のちのち子どもは強い感情をうまく処理することや、緊張度の高い状況に効果的に対応することが出来なくなる。反対に、子どもが瞬間的なストレスに対処するのを助け、怯えたり、癇癪を起こしたりしたあとに、落ち着きを取り戻すのを手伝うことの出来る親は、その後の子どものストレス対処能力に大いにプラスの影響を与える。
★生まれて最初の12ヶ月のうちに温かく気配りの行き届いた子育てを経験した子どもは、多くが親と強い結びつきを形成する。この結びつきによって、子どもの心に安心感と自信が深く根づく。心理学の用語でいう「心の安全基地」ができるのだ。これがあると、成長したときに自力で思い切って世の中の探検へと乗り出していけるようになる。
★大きな逆境の経験なく育った子どもたちにとっては、幼稚園にあがるまでの能力の発達過程はたいてい望ましい道筋をたどっている。親や世話人と、穏やかで安定したやりとりを重ねてきた子どもたちの場合には、注意を向けたり、集中したりするための能力の土台となる神経の連結が出来上がっているはずだ。幼児期のストレスが発達中の神経システムに「警戒を怠るな」、「困難な人生に備えよ」という信号を送るのと同じように、ぬくもりや敏感な反応はそれと反対のメッセージ「きみは安全だ」、「先行きは明るい」、「ガードをおろせ、まわりの人が守ってくれるし、養ってくれる」、「好奇心を持て
。世界は素晴らしい驚きにあふれている」こうした信号は適応のきっかけとなる。子どもはゆとりを持って問題や決定についてより注意深く考えることができ、長期的な視野に立って物事を考えられるようになる。長い目で見たときの利益のために、いま目の前にある満足を進んで我慢できるようになる。