望み/雫井脩介
★あらすじ
高校生の息子と中学生の娘を育てながら平穏に暮らしていた石川一登・貴代美夫妻。9月のある週末、息子の規士が帰宅せず連絡が途絶えてしまう。警察に相談した矢先、規士の友人が殺害されたと聞き、一登は胸騒ぎを覚える。逃走中の少年は2人だが、行方不明者は3人。息子は犯人か、それとも…。規士の無実を望む一登と、犯人でも生きていて欲しいと願う貴代美。揺れ動く父母の思い―。心に深く突き刺さる衝撃のサスペンスミステリー。
印象的なフレーズ
★正論であっても、それはしょせんその人間の立場やアイデンティティに根ざしたものにすぎない。立場が違えば、使う理屈も変わってくる。筋が通っていたとしても、相手に響くとは限らないし、むしろ筋が通っているからこそ受け入れてもらえないという目にあったりするわけだ。
★同じ子どもでも、2歳半と16歳を比べるのはおかしいということは承知だが、親の感覚としては、あまり差がない気がする。目を離したのはわずかなつもりでも、子どもは信じられないほど遠くに行ってしまうのだ。
続きが気になって、4時間くらいで一気読み。
息子は犯人でないと信じたい(殺害されてる被害者であるということ)父と、殺人犯だとしても生きていてほしいと願う母…。家族の心理描写が繊細に書かれていて、読んでいて胸が張り裂けそうなほど辛かったです。どの思いもその立場ならそうだよなぁと考えさせられました。
子どもが中高生になったら、何でもかんでも親に話さなくなるのは普通だと思うし、友達同士で話した方が楽しい話題もあると思うのでそれでいいのだけれど、いざという時に相談したいと思ってもらえるカッコイイ母ちゃんになりたいなぁと思いました。